軽自動車の保険料は普通自動車より安い?
年間の保険料相場を解説

軽自動車の保険料は普通自動車より安い?年間の保険料相場を解説

税金など維持費の安さで選ばれることの多い軽自動車。任意保険の保険料についても普通自動車と比べて安いのでしょうか。軽自動車の保険料相場や保険料が決まる仕組み、保険料を抑えるポイントについて解説します。

軽自動車の任意保険の保険料相場は年間で約5万円

軽自動車の任意保険の保険料相場を見てみましょう。損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況2022年度」をもとに計算しました。

保険料相場は、保険料合計を契約台数で割って計算しています。比較のために、自家用普通乗用車・自家用小型乗用車の保険料もご紹介します。

統計から見ると、軽自動車(乗用)の任意保険の保険料は、自家用普通乗用車と比べると約23,000円、自家用小型乗用車と比べると約6,000円安くなっています。

  • ※ あくまでも平均保険料です。契約者の年齢・使用地域・車種・補償内容などによって保険料は変わります。
  • ※ 記事中で使用する「任意保険」には、共済は含みません。
■平均保険料
車種 契約台数(※1) 保険料合計(※1) 年間保険料
自家用普通乗用車 17,528,238 1,286,658,384千円 73,405円
自家用小型乗用車 15,002,818 843,125,113千円 56,198円
軽自動車(乗用) 18,842,062 943,322,427千円 50,065円

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2022年度」102ページのデータより

* 年間保険料:保険料合計÷契約台数(保険料は小数第一位を四捨五入)

※1 契約台数は新契約の台数、保険料は異動・解約による追加・返戻保険料を加減した金額です。

軽自動車の任意保険の保険料が安い理由とは?

軽自動車の任意保険の保険料が安い理由として、「事故率が低い」「1件あたりの保険金支払額が少ない」などが考えられます。

損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況2022年度」を見ると、任意保険加入者の事故率について軽自動車(乗用)は約6.2%、自家用普通乗用車は約7.6%、自家用小型乗用車は約7.0%で、軽自動車(乗用)は相対的に事故率が低いです(※2)。

1件あたりの保険金の支払額についても同統計で見ると、軽自動車(乗用)は約34.6万円、自家用普通乗用車は約41.0万円、自家用小型乗用車は約34.6万円と、軽自動車(乗用)の保険金の支払額は少ないことがわかります(※2)。

  • ※2 損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2022年度」102ページのデータより
    事故率:支払件数÷契約台数(事故率は小数第二位を四捨五入)
    1件あたり保険金支払額:支払保険金÷支払件数(保険金支払額は百の位を四捨五入)

このような理由から、軽自動車の任意保険の保険料は普通自動車に比べ安くなっていると考えられます。

軽自動車の任意保険の保険料はどのように決まる?

軽自動車の任意保険の保険料は、どのように決まるのかを見ていきましょう。

保険料は、補償や保険金額の選び方が大きな影響を与えますが、それ以外にも、さまざまな要素で保険料が決まる仕組みとなっています。

補償や保険金額以外の要素では、「運転する人」「自動車の使用状況」などがあり、それぞれについてさらにいくつかの要素があります(下表参照)。

これらを総合して任意保険の保険料が決まります。

任意保険の保険料が決まる条件
運転する人 自動車の使用状況
運転者の年齢
(主に運転する人の年齢)
使用目的
(家庭用・業務用)
運転者の範囲
(主に運転する本人のみ・本人と家族など)
年間走行距離
(予想される年間の走行距離 ※3)
運転免許証の色
(ブルー・ゴールドなど)
使用地域
(東京・大阪など)
ノンフリート等級
(保険を使った事故歴に応じて
保険料を割引・割増する制度)
車種・型式
(型式別料率クラス)
  • ※3 保険会社によっては、実際の走行距離で保険料が決まる場合や、年間走行距離を設定していない場合があります。
ソニー損保より補足説明
ソニー損保の自動車保険では、使用地域による保険料の違いはありません。

ソニー損保「等級制度

ソニー損保「型式別料率クラスとは

損害保険協会「自動車保険の型式別料率クラスについて

損害保険料率算出機構「自動車保 型式別料率クラスの仕組み

任意保険の保険料算出には型式別料率クラスが適用される

任意保険の保険料が決まる条件のひとつに、「型式別料率クラス」という制度があります。これは自動車の型式ごとの事故実績(保険金の支払実績)によって、保険料を計算する仕組みのことです。

型式は、アルファベットと数字を組合せた記号で、自動車の車名やエンジンの種類などを表しており、車検証などに記載されています。

ソニー損保「型式

型式別料率クラスは、自動車の型式ごとに割り振られていて、「対人賠償」「対物賠償」「人身傷害」「車両保険」の4つの項目に分類されます。

軽自動車の場合は1〜3の3段階(※4)、自家用乗用車は1〜17の17段階の区分があります。保険金を支払った事故件数や保険金の支払い金額が少ない型式は数字が小さく、件数や保険金の多い型式は数字が大きくなり、数字が大きい方が保険料は高くなります。

このように、同じ車名の軽自動車でも型式が異なれば、仮に補償内容や等級などの条件が同じであっても、保険料が変わる仕組みになっているのです。

※4保険始期日が2025年1月1日以降の場合は1〜7の7段階となります。

損害保険料率算出機構ニュースリリース「自動車保険参考純率 改定のご案内

ソニー損保「型式別料率クラスとは

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2022年度」58ページ

型式別料率クラスが見直されると保険料は変わる

型式別料率クラスは、損害保険料率算出機構が型式ごとの事故実績によって定めているもので、保険データなどに基づき年に一度見直されています。

そのため、事故が急増するなどした型式では料率クラスが上がることがあります。1年間無事故で過ごし、補償内容や契約条件を前年と同じで更新したとしても、お車の料率クラスが上がると、新しい契約の保険料は上がります。

軽自動車の保険料を抑えるポイント

軽自動車の保険料を抑えるポイントについてご紹介します。

型式別料率クラスの数字が小さい自動車を選ぶ

同じ車種でも、型式別料率クラスの数字が小さい自動車の方が、保険料が安くなることは先述のとおりです。保険料を抑えるのなら「メーカー・車名」あるいは「型式」から料率クラスを検索することもできますので(※5)、料率クラスを確認してみるのも一つの方法です。

ただし、型式別料率クラスは毎年見直されますから、同じ料率クラスが続くとは限りません。保有している自動車の型式の事故率によって保険料は増減しますので、購入後、保険料が変動する可能性があることを覚えておきましょう。

※5 損害保険料率算出機構「型式別料率クラス検索

運転者の範囲や年齢条件を限定する

任意保険の保険料は、自動車を運転する人の「範囲」と「年齢条件」を適切に設定すると、保険料を抑えられる場合があります。

運転者の範囲については「運転者限定」と言って、補償の対象となる運転者を限定すると、補償内容が同じでも保険料が安くなります。

運転者限定は、保険会社によって異なりますが、保険料が安い順に「本人限定」「本人・配偶者限定」「家族限定」「運転者限定なし」の4種類があり、基本的に補償の対象となる運転者の数が少ない方が保険料を抑えられます。

年齢条件は、自動車を運転する人の年齢を限定することで保険料を割引する制度です。年齢区分は保険会社によって異なりますが、「21歳以上補償」「30歳以上補償」など複数の種類があります。

ソニー損保より補足説明
ソニー損保の自動車保険では、「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」の4種類があり、保険料は「年齢を問わず補償」が最も高く、「30歳以上補償」が最も安くなっています。

ソニー損保「運転者限定」「年齢条件

車両保険の補償範囲や免責金額を見直す

自分が所有する車に損害を受けたときの修理費に備える車両保険は、補償範囲や免責金額を見直すことで、保険料を抑えることができます。

・補償範囲について

車両保険には、電柱や壁への衝突をはじめとしたほとんどの車両事故をカバーするタイプと、補償範囲を限定したタイプがあります。

補償範囲を限定したタイプでは、保険料が割安になります。ただし、どういった事故が補償されるのかは保険会社によって異なりますので、ご自身に必要な補償内容をご確認の上、ご契約ください。

ソニー損保「車両保険の種類

・免責金額について

免責金額とは、保険を使って自動車を修理するとき、保険金から差し引かれる「自己負担額」のことです。例えば、修理費用が50万円で免責金額が10万円であれば、保険金は50万円から10万円を差し引いた、40万円が支払われます。

一般的に免責金額を大きくすると、保険料は安くなります。

ソニー損保「免責金額

軽自動車の保険料は安いが、型式別料率クラスの見直しで購入後に変動することも

軽自動車は、車両価格や税金などの安さで人気がありますが、任意保険料についても、普通自動車に比べると相対的に安く、経済的な優位性があります。

ただし、任意保険の保険料は、契約する人の年齢や運転免許証の色・使用状況などによって変わります。さらに、同じ軽自動車でも型式別料率クラスによって保険料は細分化されています。型式別料率クラスは毎年見直しされるため、前年と同条件であっても翌年の保険料が変わることがあります。

保険料を少しでも抑えるには、型式別料率クラスの小さい車種を選ぶ、運転する人の範囲や年齢条件を見直す、車両保険の補償範囲を見直すなどの方法があります。ご自身のカーライフにあった、車種や任意保険の補償を選ぶようにしましょう。